GPセンター 出荷担当:柴田啓汰さん 2022年3月
北坂養鶏場ではたらく人たちにスポットをあて、普段のはたらきぶりや暮らしぶりを探る「はたらく人」。第二回目は、入社して3年目。卵の出荷や見学会に携わる柴田さんにお話を伺いました。
-柴田さんはGPセンターという場所で「出荷」を担当されているそうですね。柴田さんが携わるお仕事についてお伺いできますか? GPセンターはGrading&Packagingの略で、鶏たちが産んだたまごを集めて洗って検品して商品として箱詰めし出荷する拠点のことです。ここはたまごが畜産物から商品になる場所。その中で僕が担当しているのが、出荷です。
-北坂養鶏場では、どれくらいの数のたまごが日々産まれているのですか? 2022年の現在は、一日9万個です。出社してまず取り掛かるのが集卵。にわとりたちが産んだ卵を鶏舎からGPセンターに集めていきます。9万個あるので、8時から稼働しはじめて、15時位まで集卵しています。同時に洗卵しながら、汚れがないか、たまごに不備がないか、SからLLまでサイズ分けしながら検品を進めます。ようやくその後、出荷先によって箱やパックに詰めていきます。
-GPセンターは何人くらいのチームではたらかれているのでしょうか? GPセンターには僕以外に、同期のメンバーがもうひとりいて、あとは事務担当の方とパートさん何人か。日々の仕事量によって動いている人数は異なりますが、フルメンバーで13人です。
-9万個のたまごを取り扱われていると聞きましたが、とても想像できない量です。取り扱うにも難しさがありそうです。 にわとりは生き物ですから、加工品のようにつくる量を調整できるわけではありません。これがたまごの難しさでもあります。夏場は熱くて餌を食べないので数が減るんです。逆に寒くなればなるほどよく餌を食べるので、ぐんとたまごの量が増えていきます。
-シーズンによって産卵する量も変わるんですね。
特に冬は、産まれる量と注文くださる量とのバランスを見極めるのに苦労します。出荷量が減ったとしても、たまごの量を急に調整できるわけではありません。「出荷までに倉庫がいっぱいになるぞ、どうしよう!」なんてこともあります。
先日も出荷先に相談したところ「いつもとは別の、省スペースのケースで納品なら引き取れますよ」と言っていただいてホッとしたのもつかの間。果たして手元にある資材で足りるのか、計算しなおしたりして……。「頭が痛いな~」なんて同期と励ましあいながらなんとか切り抜けました。
-柴田さんは動物専門学校を卒業されて北坂養鶏場に入社されたと伺いました。 動物園の調教師や動物とショーをする演者になるのが、小学生からの夢でした。高校を卒業して、大阪の動物専門学校に入学。動物にまつわる看護や飼育など専門的な知識を2年間学びながら、動物と携わる職場にいくつも伺いました。その中で新たに興味を持ったのが、研修先の牧場で取り組んでいた「食育」のプログラムでした。
-どんな「食育」のプログラムだったのでしょうか。 その牧場は肉牛を育てていらっしゃって、一般のお客さまにむけて「いただきます・ごちそうさま」の意味を改めて伝える機会をつくられていました。幼い頃にその意味を聞いたことがあったけど、牛を目の前にしてその話を聞いたことがとても印象的だったんです。お客さんの反応も温度感があって「おもしろいな~」って。
-ちょうどその頃、北坂養鶏場とも出会われたんですよね。 そうなんです。「食育」にも興味が湧いてきた頃、ゼミの授業で訪ねたのが北坂養鶏場でした。卒業研究のことも含め「食育プログラムやってみたいです」と社長に伝えたところ「できる範囲でサポートするよ」とすぐに答えてくださいました。
-そして、北坂養鶏場に入社されたんですね。
淡路島という土地にも興味があったこともあって、北坂養鶏場に入社することを決めました。半年後には見学会を担当させてもらうことになりました。
「“いただきます”は命を分けてくれる動物たちへの感謝の気持ち、“ごちそうさま”は携わってくれた生産者さんにむけての気持ちを表します」と、食育プログラムを即実践することができました。
-参加者のみなさんはどんな反応でしたか? 特に同世代のお客さまが関心を持ってくださったように思います。訪ねてくれた友人も「改めて考えさせられた」と感想を聞かせてくれました。自分が「おもしろいな」と感じたことに共感してもらえて、やってみてよかったと思えた瞬間でした。
-今後、さらに取り組んでみたいことはありますか? 北坂養鶏場での見学会はもちろんですが、この辺りの地域の生産者さんの仕事を見て体験してもらうような「教育ファーム」を形にしてみたいなと動いています。僕も休みの日に働かせてもらったのですが、近くの水産加工屋さんでちりめんやタコの加工をするのもおもしろいんですよ。他にも農園を訪ねて草引きや収穫してみるのも新鮮な経験です。自分たちの手で収穫や加工して、さらにそれらを料理して食べてもらう。母校の卒業生や友人に声をかけて、そんなイベントを企画中です。
-考えたことをすぐに形にする、スピード感がありますね。 僕の座右の銘は「考えたら、即行動」です。見学会での食育プログラムもそうでしたけど、思いついたらすぐに相談。「やってみたらいいよ」って社長も言ってくださるし、そういった動きをサポートしてくれます。仕事しながらなので、大変さもあるけど楽しさが勝っています。
-最後に、柴田さんが北坂養鶏場を一言で表すならどんな場所ですか? 楽しい職場です。自分が思い描いたことをすぐに形にしていけることはもちろん、職場の人たちが母や祖母のように、僕のはたらきぶりや暮らしを見守ってくれている感じがします。「野菜いらんか?」ってわけてくださったり、カップラーメンを差し入れてくださったり笑。北坂養鶏場にきて3年が立ちますが、楽しいこと、考えたこと、これからもどんどん形にしていきたいなと思います。
柴田啓汰 2019年度入社 GPセンター 出荷担当
お昼ごはん:タッパーに2合分のお米と北坂たまご2つのたまごかけごはん
休日の過ごし方:好きなアーティストのライブへ行く
なくてはならない仕事道具:たまごが滑らないゴム手袋
・おっちょこちょいで、せからしい(淡路弁でにぎやか)
・なんでも言いやすくて、話がしやすい。
・頼りになる。