労務担当:島かずはさん 2022年7月
北坂養鶏場ではたらくさまざまな人たち。たまごにまつわる仕事はもちろん、鶏やひよこたちをお世話する人、鶏糞で肥料をつくる人。いろんな人たちの多種多様な営みを重ねて北坂養鶏場は動いています。「はたらく人」は、そんな北坂養鶏場ではたらく人たちの話に耳を傾け、はたらきぶりや暮らしぶりを探る連載です。第七回目は北坂養鶏場の事務や労務を担当する島さんにお話を伺いました。
-なぜ改めて労務という仕事が生まれたのでしょうか? ここ数年でスタッフが増えたことが大きいですね。3年目になる若手社員が複数いたり、今年は5人の新入社員が入ってきたり。これまでベテランスタッフばかりだったのが、社内の状況も少しずつ変わってきたんです。「言わずもがな」だったところを「明確に誰が見ても聞いてもわかる」ように整え、北坂養鶏場全体を見渡しやすくする方法が必要になったんです。
-これまでなかった役割を担うのはプレッシャーではありませんか? もともと、データをとって検証するようなことが好きでした。GPセンターでも一日これくらい稼働すると、人が何人動くから何円かかってる。この動きをスムーズにすればこれくらい効率よくなる!みたいなことに興味があって。その視野を全体に広げて、みんながはたらきやすい環境をつくるっていうことだったので、すごくやってみたいなと思いましたよ。
-数ヶ月で、どんな取り組みが進みましたか?
これまでなんとなくの報告で成り立ってきた、残業、振替出勤、早退、遅刻なんかの届け出をつくりました。これは決してみんなのことを束縛するための制度ではないんです。寝坊だったら寝坊って書いて提出していいからねって。
届け出を出してもらったら「今月は早退が続いてるな、忙しいと体調くずしやすいのかな?」なんて分かるようになる。すると仕事量をコントロールしないといけないなっていうのがわかるようになります。みんなの場所だから、みんなが心地よく仕事を続けていくために必要なことなんです。
-島さんはバレー選手だったと伺いました。ポジションはどこだったんですか? 小学生の頃からはじめて、中学校ではバレーで大阪に進学して、大学卒業後は実業団に在籍していました。ポジションはセッターです。
-チームを見渡し問題を取りのぞく。その視野の広さはセッター由来だったんですかね。「島さんはかけこみ寺だ!」なんて話も聞きますが、どんな相談事がありますか? 笑。ありがとうございます。GPセンターでは、私がこれまでやってきた仕事を少しずつバトンパスしているところです。「島さんに教えてもらったこの仕事、どうすれば伝わるかわからなくて」なんて相談があります。
-相談しやすいように心がけていることはありますか?
これまで教わる立場だった若手社員のみんなも、新入社員さんに教える立場になりました。「みんながわかるようにするにはどうしたらいいと思う?」と投げかけ、自分たちで考えてもらって、環境を変えたり整えたりしてもらうことを心がけています。
あとみんなの状況が見えるところにいるようにしています。例えば、全体朝礼のあとの各部署の朝礼にも顔を出したり。
-まさに「かけこみ寺」ですね。社長からも、相談事があったりしますか? ありますよ。「若い子に注意したんやけどよかったかな」なんて。でも、社長の場合は私だけじゃなくて、みんなにそうしてるんじゃないかな。そうやって話しやすい関係性をつくってるのが社長。さらに、それぞれの考えていることを引き出し、信頼してまかせてしまうのが北坂養鶏場です。
-これまでの若手社員のインタビューでも「上の人と話しやすい」「やりたいことをやらせてくれる」というお話をよく耳にしました。
社長も年上の先輩たちも、やりたいと言ったことは否定しませんね。若い子たちが中型免許やリフトの免許が欲しいと言ってきたときも、やってこいと送り出しました。
私が若いときにはたらいていた企業では、上の人が決めた固いルールの上で仕事をしないといけないのが苦痛でした。だから自分たちで考えて動いて変えていける環境って、とても大切にしたい。そういう私たちの姿を、若手のみんなが見てなにか感じ取ってくれてるならうれしいです。
みんなもどんどん自分が心地よくはたらけるように変化させていってほしい。私も15年目でやりたかった労務に携わっていますから。そうやって北坂養鶏場らしさがにじみ出ていけば、すごくいいですよね。
島かずは 労務担当